潰瘍性大腸炎の食事療法のポイント

症状に合わせた食事

症状が出ているとき「活動期」といいます。
脂質の多い食事は症状を悪化させます。大腸粘膜の修復に必要な良質のたんぱく質を摂取しながら炭水化物でしっかりエネルギーを確保しましょう。

症状が落ち着いているとき「寛解期」といいます。
厳しい食事制限は必要ありません。ただし暴飲暴食は避けましょう。

活動期の食事

適切なエネルギーを摂取しましょう

炎症がある時には腸粘膜の修復にエネルギーが必要になります。
適切なエネルギーを補給するようにしましょう。

適正摂取エネルギーは、目標体重(㎏)×30~35kcal

脂肪分の多い食事は控えましょう

脂肪は腸を刺激します。下痢を助長させることがあるため控えましょう。
脂肪分にも種類があります。3:4:3で取り入れ、バランス良く摂取しましょう。

  • n-3系脂肪酸:魚、えごま油、亜麻仁油
  • n-6系脂肪酸:マーガリン、マヨネーズ、大豆油
  • n-9系脂肪酸:オリーブ油、米油

脂肪の多い畜肉は、活動期は控えましょう。

  • 油の種類を上手に使い分けましょう
  • 油イラスト

刺激物は控えましょう

香辛料などの刺激物やコーヒー、アルコール類、炭酸飲料、冷たすぎる物は腸を刺激し下痢を誘発させることがあるため、控えましょう。

  • 刺激物イラスト

残渣ざんさの少ない食事にしましょう

残渣とは、食事が消化・吸収されずに消化管内に留まるもの(例:食物線維)で、腸に負担をかける原因となります。食物繊維(野菜)の摂り過ぎは腸を刺激し腹痛や下痢を悪化させることがあります。狭窄がある場合には腸閉塞の原因にもなります。摂り過ぎには注意しましょう。

  • 腸イラスト

ビフィズス菌を摂取し、腸内環境を整えましょう

ビフィズス菌を摂取することで腸内環境が整い、腹部症状の改善や寛解維持効果が期待されます。ヨーグルトやビフィズス菌粉末を継続的に摂取しましょう。

  • ビフィズス菌のヨーグルトやサプリ

食品選びの目安

食べても良い食品
(比較的問題のない食品)
食べる量・頻度に注意する食品
(弱い制限)
食べる量・頻度を制限する食品
(強い制限)
穀類 パン 食パン
フランスパン
あんパン(こしあん)
菓子パン
調理パン
クロワッサン(デニッシュ)
揚げパン
メロンパン
クリームパン
食パンは消化が良いですが、バターやマーガリンはn-6脂肪酸です。使用量には注意しましょう。
うどん
そうめん
冷麦
日本そば
ビーフン
スパゲティ
マカロニ
中華麺
インスタント
ラーメン
スパゲティやマカロニは比較的消化が良いですが、油を使用した料理での使用は控えましょう。
和風パスタやノンオイルドレッシングを使用したマカロニサラダがおすすめです。
ご飯
お粥
赤飯 玄米
芋類 じゃが芋
里芋
春雨
長芋
さつま芋 こんにゃく
白滝
さつまいもには食物繊維が多く含まれます。特に先の方は繊維が多い為、食べる量には注意しましょう。
果物類 バナナ
リンゴ・もも
缶詰
メロン 種のあるイチゴ・イチジク・キウイフルーツ
かんきつ類
スイカ
柿・ぶどう(皮なし)
ドライフルーツ・ナッツ類
野菜類 白菜(葉先)
人参・玉葱
ホウレン草(葉先)
大根・かぶ
キャベツ(芯は除く)
小松菜(葉先)
青梗菜(葉先)
かぼちゃ
ブロッコリー
カリフラワー
ピーマン
みつば・なす
トマト(皮・種なし)
レタス
青しそ
パセリ
きゅうり
長ねぎ
たけのこ
にら
セロリ
レンコン
切干大根
キノコ類
海藻類
トマトの皮や種は消化が悪いため、湯剥きしましょう。
他に皮のある野菜も再燃期には皮を剥いて使用しましょう。
不溶性食物繊維はごぼう、れんこん、トウモロコシなどに多く含まれます。
海藻・キノコは不溶性食物繊維の多い食材です。食べる量には注意しましょう。
豆類 豆腐
焼き豆腐
高野豆腐
ゆば
きな粉
豆乳
油揚げ
生揚げ
豆乳飲料
こしあん
挽き割り納豆
がんもどき
枝豆・納豆
おから
つぶあん
煮豆
豆の皮は消化しにくいものです。すりつぶしたものから始めましょう。
油揚げや生揚げは、油抜き不要のものでも湯通しして使用しましょう。
魚介類 タラ・カレイ
タイ・ヒラメ
マグロ(赤身)

はんぺん
ちくわ
かまぼこ
すりみ
ホタテ(貝柱)
シーチキン(水煮)
ほっけ(生)
イワシ
アジ・サンマ
サバ
かき(加熱)
カニ
マグロ(トロ)
うなぎ・あなご
ブリ
タコ・イカ
するめ
さつま揚げ
エビ・ホタテ
刺身
干物
魚は脂肪の少ない白身魚からスタート。たこやイカなど加熱すると固くなるものは避けましょう。
生魚(刺身)は殺菌されていないため、腸の免疫機能が低下している活動期・再燃域は避けましょう。
鶏卵(加熱)
うずら卵
生卵 マヨネーズは少量でエネルギーを確保することが可能ですが、脂質が多いためカロリーハーフを使いましょう。
肉類 鶏肉(ささみ、皮なし胸肉) 脂肪の少ない
肉類
鶏肉(皮なしもも肉)
豚肉・牛肉(もも肉・ヒレ肉)
皮つき鶏肉
ロース肉・肩ロース肉
ウインナー・ハム
ベーコン
ばら肉・コマ肉・豚ミンチ肉
サラミ
肉は、脂身の少ない鶏ささみ、むね肉から開始し、もも肉、豚ひれ肉にしていきましょう。タンパク質不足に注意しましょう。
乳製品 スキムミルク
乳酸菌発酵飲料
カッテージチーズ
低脂肪牛乳 普通牛乳
チーズ
練乳
アイスクリーム
乳製品は無脂肪→低脂肪→普通牛乳へ段階を経て使っていきましょう。
菓子類 飴・ガム
煎餅
団子
ゼリー
ビスケット
カステラ
プリン
シャーベット
和菓子(こしあん)
スナック菓子
クッキー
揚げ菓子
洋菓子(ケーキ・ムース)
チョコレート

調理法を工夫して、飽きの来ないお食事を

脂質を減らすポイント
普通牛乳ではなくスキムミルクや低脂肪牛乳、豆乳を使うなど、置き換え食材を使用しましょう。
揚げるのではなく「煮る」「茹でる」「蒸す」など、調理方法をひと工夫しましょう。
テフロンのフライパンやオイルスプレーを使うなど、調理油を減らしましょう。

野菜も繊維を断ち切る方法で取り入れましょう
野菜はみじん切りや、そぎ切りで繊維を断ち切ることで大腸への負担が少なくなります。
食物繊維はすべてダメではなく、煮物や汁物にいれて溶け出た栄養成分はおいしくいただきましょう。

たんぱく質不足を防ぎ、腸粘膜の修復を助けましょう
肉や魚、乳製品は腸粘膜修復の大事な要素です。不足しないように注意しましょう。

潰瘍性大腸炎のためのレシピ