「そけい(鼠径)」とは左右の脚(あし)の付け根部分のことで、「ヘルニア」とは体の組織が正しい位置からはみ出した状態を言います。「そけいヘルニア(鼠径ヘルニア)」とは本来は腹部にある腹膜や腸の一部が、鼠径(そけい)部の筋膜が弱くなり筋肉の隙間から皮膚の下に出てくる病気です。腸が出てくることが比較的多いことから脱腸と言われたりもします。
そけいヘルニアは脚(あし)の付け根の筋膜が弱くなってしまうことが原因です。生まれつきの場合もあれば、年齢とともに弱くなることもあります。おなかに力を入れると、重力の加減で脚(あし)の付け根部分に内側から力がかかってしまいやすく、それを支える筋膜が弱くなると、タイヤがパンクするようなイメージで隙間からおなかの臓器(腹膜や腸の一部)が飛び出てくることでそけいヘルニアになるとされています。
そけいヘルニア(鼠径ヘルニア、脱腸)は乳幼児から中高年者まで幅広く起こる病気です。その原因は乳幼児の場合は、先天的な要因がほとんどですが、中高年者の場合は加齢によって内蔵や組織を支えている腹膜や筋膜、筋肉が衰えることにあります。
乳幼児、中高年でも鼠径ヘルニア患者の80%以上が男性です。これは、鼠径管のサイズが男性は女性より大きく、比較的腸が脱出しやすいためと考えられています。
鼠径ヘルニアになりやすい人は中高年の男性意外にも以下のような人も多いのが特徴です。
いずれもお腹に力が入る(腹圧がかかる)人に多くみられます。