「局所麻酔で行うそけい部切開法」
そけい部切開法では注射による局所麻酔と点滴による鎮静剤を併用して行います。
実際の手術部位に局所麻酔の注射を打ち、手術を行う部分の皮下や筋肉、神経周囲に麻酔薬を浸潤させたのち、鼠径部を5〜6cm切開し、切り込んでいきます。そして、そけいヘルニアの原因部分にメッシュを敷いて穴をふさぐように補強します。
この方法はヘルニアの小さい方や痩せ型の方にはこの麻酔で十分可能であると思います。しかし、ヘルニアが大きい方や体型が太めで皮下脂肪の厚い方、またヘルニアが元に戻らなくなって(嵌頓状態)出っ張ったままの方にはあまり向かない場合もあります。
- 当院では中学生を除く15歳以上の診療体制となっております。
そけい部切開法の長所
- 局所麻酔で行える
- 状況によりそけい部切開法でも、まれに全身麻酔がひつようなこともあります。
そけい部切開法の短所
- 手術直後にそけい部の痛みがやや強い
- 両側同時に手術は基本的には行えない
- 同時手術を行っている施設もありますが、当院では麻酔薬の過量投与の危険性や感染性合併症の危険性の観点から、基本的には片側のみ行っています。
手術時間
60分程度
- 手術室では局所麻酔や準備のためにプラス30分ほど時間を要します。
入院期間
3泊4日
- 手術前日
入院・手術のオリエンテーション - 手術当日
午前から点滴開始→手術→ご自身の病室へ帰室 ※夕から食事開始
手術後は2時間は安静にし、その後は自由に過ごせます。
食事開始します。 - 手術翌日・手術翌々日
キズの管理、自宅療養のオリエンテーション、退院
費用の目安
10割 | ¥236,500 |
---|---|
1割 | ¥23,650 |
2割 | ¥47,300 |
3割 | ¥70,950 |
- 入院時食事療養費の一部負担金、差額個室料、術後の抗がん剤、放射線治療法等の治療費は除きます。
- 同一月(1か月)ごとの健康保険適用分の費用が自己負担限度額を超えた場合、高額療養費として差額を請求できます。
「全身麻酔で行う腹腔鏡下そけいヘルニア修復術(TAPP法)」
(TAPP法:Trans-Abdominal Pre-Peritoneal repair)
そけいヘルニアの腹腔鏡下手術は、胃や大腸や胆嚢での腹腔鏡下手術とやり方は全く同じです。
そけいヘルニアの場合は5mmから12mmの穴を3ヶ所開けます。そのうちの1つの穴から腹腔鏡というカメラを入れてお腹の中を映します。その映像をモニター画面で見ながら、別の2つの穴から入れた手術機器を外科医が操作して、手術を行います。お腹の内側からヘルニアの原因部分をみつけ、その部分にメッシュを当てて補強します。
- 当院では中学生を除く15歳以上の診療体制となっております。
腹腔鏡手術の長所
- 手術直後からそけい部の痛みが出にくい。
- 傷跡が目立ちにくい。
- ヘルニアが左右両側にあっても、同じキズで左右両側を同時に治療できる。
- お腹の中を観察しながら手術を行うので症状の出ていない小さなヘルニアの見落としが少なく同時に治療ができる。
腹腔鏡手術の短所
-
全身麻酔が必要のため、心肺機能などの問題で受けられない方には施行できません。
当院では、患者様の身体の状態や希望などから、最も適切な手術方法を選択するようにしていますので、手術方法の選択に関しては遠慮なく医師にご相談ください。 - おなかの手術をしたことがある場合には、行えないこともあります。
手術時間
片側で60-70分程度 両側の場合は120-150分程度
- 手術室では全身麻酔や準備のためにプラス60分ほど時間を要します。
入院期間
3泊4日
- 手術前日
入院・手術のオリエンテーション - 手術当日
午前から点滴開始 → 手術 → 回復室へ帰室
手術後は回復室で1晩過ごします。 - 手術翌日
朝の回診(医師の診察)の後、ご自身の病室へ帰室
歩行練習、キズの管理、昼から食事開始 - 手術翌々日
キズの管理、自宅療養のオリエンテーション、退院
費用の目安
10割 | ¥489,300 |
---|---|
1割 | ¥48,930 |
2割 | ¥97,860 |
3割 | ¥146,790 |
- 入院時食事療養費の一部負担金、差額個室料、術後の抗がん剤、放射線治療法等の治療費は除きます。
- 同一月(1か月)ごとの健康保険適用分の費用が自己負担限度額を超えた場合、高額療養費として差額を請求できます。