輸血療法拒否の患者さんへの当院の対応について
当院では、全ての患者さんに可能な限り無輸血治療の努力をしています。患者さんやそのご家族の方が宗教上の理由等で輸血を拒否される場合においても、患者さんの人権を十分に理解し、尊重いたします。しかしながら、救命を優先する医療上の立場から、輸血無しでは救命が困難になった場合は、輸血を行います。いわゆる「相対的無輸血」の方針です。
2008年2月「宗教的輸血拒否に関するガイドライン」が報告されています。当院ではこのガイドラインに基づき、以下の基本方針に則り、宗教上の理由等による輸血療法拒否の患者さんやそのご家族に対応いたします。
基本方針
- 患者さんの宗教的信念を「個人の権利」として十分に理解し、尊重いたします。
- 予定されている検査、手術などの必要性や起こりうる合併症などを十分説明いたします。そして、輸血の可能性や意義について十分説明いたします。当院では、全ての患者さんの治療において輸血を回避する努力を行っていること、また成分輸血、生物由来製剤の特徴、自己血輸血法等、輸血の多面的な用法についても説明いたします。
- 患者さんの輸血拒否については最大限尊重いたしますが、輸血が患者さんの救命に不可欠の手段であると判断した場合には、医師の倫理的・職業的義務として輸血を行います。いわゆる「相対的無輸血」が当院の方針であります。
- 「相対的無輸血」の方針について、患者さんおよびそのご家族へ十分説明いたします。それでもなお、輸血を拒否される患者さんに対しては、当院での検査・治療が困難となります。その場合は速やかに他の医療機関での治療をお勧めいたします。したがって、患者さんやそのご家族より提示される「免責証明書」「絶対的無輸血治療に関する同意書」等の文書は、受理、署名は行いません。
- 宗教的理由などによって輸血を拒否されている患者さんが緊急事態となった場合、救命のために行う輸血の是非に関しては、病院長が全責任を持ち、最終判断を行うことにしています。